仕事で、大きなソーシャルプラットフォームの傍らで生きるコミュニティアプリを作っていることもあって、このテーマはよく考えます。巨人の上に乗るのか、それとも競争するのか。どちらもあり得ますが、面白いのは「いつ切り替えるか」という問いのほうです。
まず共存から始める理由#
プロダクトマーケットフィットを探している初期の段階では、大手プラットフォームに乗るのがたいてい正解です。すでにユーザーがいるエコシステムの中で動けば、ユーザーが本当に求めているものが見えてきます。人気プラットフォーム向けのインテグレーションを作れば、お金では買えない流通経路が手に入ります。巨人と正面からぶつかる代わりに、ニッチを切り開くこともできます。PayPalはeBayユーザー向けの決済手段として始まりましたし、名前の挙がる成功アプリの半分は、ShopifyやSlackのアドオンからのスタートです。
競争に転じるタイミング#
転換期が来るのは、プラットフォーム側よりも自分たちのユーザーを深く理解できるようになってからです。Instagramが典型例で、写真フィルターアプリから独立したソーシャルプラットフォームへと育ちました。私が目安にするサインは2つあります。自前のドメイン知識や技術が本当に蓄積されたか。そして、既存勢が提供していないものをユーザーが求めていると、行動から読み取れるか。どちらも揃っていないなら、競争は負け戦を自分から仕掛けるようなものです。
コミュニティアプリの場合#
コミュニティ系プロダクトにとって、共存とは要するに地道なインテグレーション作業です。もうひとつアカウントを作らせないためのソーシャルログイン。コミュニティのコンテンツをSNSのフィードへ簡単にシェアできる仕組み——これはそのままマーケティング予算の代わりになります。他のプラットフォームでメンションや紹介をされたら知らせる通知、パートナーが自分のサイトにコミュニティ機能を載せられる埋め込みやウィジェット、補完関係にあるサービスとのAPI連携もそうです。技術以外の面では、大手プラットフォームに根を張るインフルエンサーとのコラボや、複数プラットフォームをまたぐキャンペーンのほうが、自前でどんな機能を作るよりエンゲージメントに効きます。
二者択一ではありません。ほとんどのスタートアップは共存から始めて、成長とともに競争へ寄っていきます。難しいのは、いつの間にかその転換の資格を手にしていたことに、自分で気づくことです。

