今年読んだマネジメント関連の記事は、どれも同じことを言っていました。「もっと共感を持て」。それはいいのですが、どこに線を引くべきかは、誰も教えてくれません。
私はその線を、身をもって探ってきました。マネジメントの訓練を受けたわけではなく、開発者として働くうちにプロジェクトチームを率いる立場になったタイプなので、以下に書くことはだいたい、一度少し間違えてから学んだことです。
共感は何のためにあるのか#
リーダーの立場での共感とは、会議で感じよく振る舞うことではありません。意思決定をするとき、フィードバックを伝えるとき、チームの進め方を決めるとき、メンバーが実際にどう感じているかをきちんと重みとして扱うことです。自分の事情が考慮されていると分かると、人は肩の力が抜けて、早めに声を上げるようになり、仕事も目に見えて良くなります。この部分に関しては、世間の定番アドバイスは正しいと思います。
足りなくても、多すぎてもダメ#
よく警告されるのは、人をリソースとしか見ない冷たいマネージャーの失敗です。これは実在します。メンバーの生活で起きていることを無視すれば、みんな口を閉ざし、士気は下がり、問題は何か月も経ってから発覚します。
一方、誰も警告してくれないのが、その逆の失敗です。何もかも受け入れていると、境界線が曖昧になります。締め切りはただの目安になります。そして、黙って水準を守っている人たちが、守らなくても許される人たちの分をかぶることに、不満を募らせていきます。私自身、その場では優しさのつもりで譲りすぎたことがあります。チームの他のメンバーにとっては、まったく優しくありませんでした。
1on1がほとんどの仕事をしてくれる#
私がバランスを保てているのは、何か哲学があるからではありません。カレンダーの定期予定のおかげです。定期的な1on1があれば、小さな問題は小さいうちに表に出てきます。ある日突然、退職願というかたちでまとめて届くのではなく。
私の1on1は、毎回だいたい同じことを聞きます。何に詰まっているか。最近うまくいったことは何か。チームの連携はどうか。今後どう成長したいか。そして、私が変えるべきことはないか。
いちばん役に立っている質問は、ごく地味なものです。「タスクを進めるうえで、私やチームから必要なものはありますか?」。ありふれた質問に聞こえますが、そうではありません。「私も解決に関わるつもりだ」という意思表示になりますし、返ってくる答えはほぼ毎回、実際に対処できる具体的なことです。誰かへのアクセスだったり、宙に浮いたままの決定だったり、1時間のペアプロだったり。
「ノー」を伝えるときこそ正直に#
1on1をやれば要望が出てきます。全部には応えられません。応えられない要望をどう扱うかで、信頼は築かれもすれば、失われもします。
私のやり方はこうです。まず要望を真剣に受け止めて、そう伝える。今は実現できない理由を説明する。部分的な代替案があれば出す。いつ再検討するかを言う。そして結論が変わっていなくても、必ずその話に戻ってくる。
これで「ノー」を伝えるのが楽しくなるわけではありません。ただ、理由付きの正直な「ノー」は、二度と話題に上らない曖昧な「検討します」よりも、はるかにまともに受け止めてもらえます。
私がたどり着いた公式は、せいぜいこの程度です。メンバーの状態を本気で気にかける。仕事に必要なことは正直に言う。そして、どちらかに寄りすぎたことに気づけるくらいの頻度で、話す機会を持つ。

